弁護士タケハラがこっそり解説!弁護士でない退職代行業者を使っても問題ないケース7選

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本当のところどうなのという皆様の疑問にお答えしていくブログです。

※動画を簡易にテキスト化した文章になる為、所々読みづらいかもしれません。
できればブログ内の動画の方をご覧ください。


弁護士の嵩原安三郎です。

ネットで結構質問を受けることがあるんですけど、ネットでは実はこれは聞かれないけれども、リアルに会った人には聞かれる質問もあるんですよ

それで多いのが

嵩原さん、ネット見たら退職代行は弁護士がいいよ、弁護士がいいよという話をよくしているけど、実際は弁護士じゃなくてもいいケースってあるんでしょ?

という質問なんですね。

別に退職代行で弁護士に頼まなくても業者でいいんじゃない?っていうケースはあります
今日は、その退職代行業者でもいいケースを7つ紹介します。

1つ目、退職代行を気にしない穏やかな会社

1つ目なんですけれども、これまで上司とか社長が

退職は認めない

って言い出す可能性がほとんどない、そんな穏やかな会社を退職するようなケースですね。

これは当たり前かもしれないけれども、だって、それを伝えるだけでいいわけじゃないですか
「退職します」と単に言いにくいなと思っているだけで、言えば多分認めてくれるんだけどというようなケースだったら、言えばいいので交渉でなくて済む。
だから弁護士じゃない業者でもできる。

雇用契約に期間が決まっていない場合、2週間経過すれば自動的に辞められるわけですから、ただ伝えるだけであれば、別に弁護士じゃなくてもいいです
ただ、伝えるだけでいいんだったら、別段親でも友達でも兄弟でもいいとは思っているので、そこはちょっといろいろあるかもしれないけど、伝えるだけで絶対会社がOKと言ってくれるようなケースだったら、業者でもいいんじゃないかなと思っています。

その後、例えば

離職票を出さないよ

とか

給与を払わないよ

とか

有給休暇を取らせないよ

とか、そんなことになると結局交渉になっちゃうので、それをさせるんだったら、初めから弁護士がいいかもしれない。
業者は交渉ができないので、そこから弁護士にバトンタッチするんだったら、弁護士が初めからしたほうがいいかもしれない
けれども、そんなこと全部認めてくれるという会社だったら、業者を使わなくてもいいんじゃないかなと思います。

これ実は結構これをしっかり守っている業者と、そうじゃない業者があるんだけれども、EXITという老舗の退職代行業者があるんです。
そこは老舗だけあって、依頼者から裁判を起こされたケースがあります

これは

退職代行でやっちゃいけないものを退職代行で受けているんじゃないかと思ったから、お金を返せ

という裁判が何件かあるみたいなんですけれども、それで裁判ではEXITは勝っています

何かというと、裁判所は

裁判官

交渉まですればアウトです。
弁護士法違反でアウトなんだけども、会社が退職をすんなり認めているというようなケースだったら、業者が伝えるだけでも弁護士法違反にならないよ

と判断したわけです。
その代わり、会社が「いや、それは認めない」と言った場合に沿っていけばいい。
それで引いているんだったら正当だよ、という裁判例があるんですね。

EXITはそれをすごく守っていて、だからEXITが会社とやりとりしている動画を出したりしているんですけど、その中でも会社から「認めない」と言われると、すっと引いていく

それを見て「なんでだろう?」って疑問に思った人もいるかもしれないけど、あれはEXITがそのルールを守っているわけですよね。
だから動画になっているんだけれども、そういうふうに会社が「言ってこないよ」とか言ってきても、すぐそこで弁護士にバトンタッチするという業者だったら、別に問題ないんじゃないかなと思います

そういうケースだったらね、周りの声が聞こえるんですけれども

いや、それってずるくないか?変じゃないか?

と。
伝えるまでやって、そこで会社が反論してきたらすっと引くというんだったら、

初めから頼まないよ

という人がいるかもしれない。

けれども、それはね、僕もちょっと業者さんずるいなと思っているところがあります
正直言って。
だって、業者のホームページとか見ていても、「全部私たちで交渉してまとめました」みたいなことを実績として書いているところもあるでしょう。

あれ、正直、本当だったら弁護士法違反なので言ってはいけないと思っているし、実際やってはいけないと思っているんだけれども、だから、そういう意味では何かできるかのように誘っていて、実際に会社から反論があったらすっと引いたりとか、

ランキングサイト制作者

これ以上は弁護士じゃないからできません

と言っているのは、それやったら一回弁護士に頼んだほうがいいのに、と思う。
けれども、それはさておき、会社が反論してこないような会社だったら、別に業者を使ってもいいんじゃないかなと思います

2つ目、有給休暇をしっかり取らせてくれる会社

有給休暇をしっかり取らせてくれる会社。
そんな会社の場合は退職代行業者でもいいかなと思います。

そうです、そうです。これはきちんとした会社なんですよ。
これは有給休暇に限らずなんですけれども、きちっとしている、いわゆるホワイト企業の場合は退職代行業者でもいいかなと思います

そんな会社ってね、有給休暇が一番会社としてはマイナスなわけですよ。
だって、働いてもないのに給与を払うというのは、経営者が一番会社にとって嫌なところです。
それをちゃんと対応している会社というのは、ちゃんとした会社なので

退職しますよ

と言えば

まあいいです

とすんなり引き止めもせずにやってくれる会社も多い。
そういう会社なら、弁護士じゃなくてもいいかもしれない。

そんな会社でも、なぜ退職代行を使うかというと、上司がたまたまパワハラ気質だったりすることがあるんですよ
社長はすごくいい人だけど、直属の上司がすごい嫌だ、というような場合。
いい会社なんだけれども辞めざるを得ないということがあったりする。

そういうところだったら、パワハラ気質の上司が何か個人的に攻撃してくることもあるかもしれないから、それなら退職代行業者じゃない方がいいんだけれども、それも会社が抑えてくれるし、会社の社長はすごいいい人で、言えば

事情をわかってなかった、ごめんね

と言ってくれるような、そんなまともな会社であれば、退職代行業者でもいいんじゃないかなと思います。

そういうのを測るメルクマール、つまり基準が「有給休暇をきちっと取らせてくれる会社かどうか」です。
有給休暇を取らせてくれない会社、例えば

有給休暇は何に使うか言ってよ

とか

ちゃんと理由を説明して

なんていうことを言ってこない会社ならかなりホワイトなので、業者を使っても問題ないかなと思います。

3つ目、腹いせに給与を払わないなんてしない会社

腹いせに給与を支払ってこないようなことが予想されない会社。
そういう会社だったら業者を使ってもいいと思います。

結構あるんですよ。
皆さんも自分の会社を見てください。
退職代行を使ったら、会社が

給与を払わない

みたいな、そんな子供っぽい反応をするような会社だったら、退職代行業者は向かないかなと思います。

なぜかというと、そういう会社相手だと、退職代行業者は督促できないんですね
「給与を払ってよ」とか「未払い分を払ってよ」という交渉になってしまうので、それは業者では対応できません。
弁護士法に触れてしまうから、業者はやらないんですね。

だから、退職代行業者を使うなら、自分で給与の支払いを求める交渉をしないといけなくなる
そういうのが予想される会社なら、最初から弁護士に頼んだほうがいい。

でも、そういう心配がなくて、給与は素直に支払ってくれる会社なら、業者でもいいかなと思います。

4つ目、非弁業者の場合に直接本人に会社が連絡してもいいという事を知らない会社

会社が、退職代行業者を通さずに直接本人に連絡を取ってもいいということを知らない場合。
こういう会社なら、業者を使ってもいいと思います。

親や退職代行業者が入ったら、会社は業者を通じてじゃないと連絡を取っちゃダメだよね?

と思ったでしょう?違うんです。
そもそも弁護士は代理になれるけど、退職代行業者は代理人になれません
代理になれないから、会社が直接本人に連絡を取るのは全く問題ないんです。

会社が直接連絡してくるのを止めることはできません。
法的に、退職代行業者はただの「使者」です。
つまり、郵便局の人が手紙を持っていくだけのような役割なんですね。
だから、人事の窓口を「退職代行業者に一本化してください」と言う権利も、根拠もないんです

今のところ、会社側が「退職代行業者を通じてしか連絡できない」と勘違いしている場合もあるんですが、それは単に「素直に従っている」か「騙されている」だけです
法的には、会社が直接本人に連絡を取ることは問題ありません。

だから、もし会社が

いやいや、直接本人に連絡するよ

と言ってきたときに、本人がそれを無視してしまうと、会社は懲戒解雇できる可能性があるんです
気をつけてくださいね。

だから、「懲戒解雇しない」とか「直接連絡してこない」ような会社であれば、業者を使っても問題ないかなと思います。

僕以外の弁護士さんも

まともな会社だったら、退職代行業者から連絡があったときには本人に意思確認をしますよね

と言っています。
実際、まともな会社なら、ちゃんと本人に意思確認をしようとするわけです。

弁護士だったら代理人なので、弁護士に確認すればそれでOKなんですが、業者の場合は「本人に確認しないといけない」。
つまり、会社は本人と連絡を取らなければならないんです。
退職代行業者を使って会社とやり取りしたとしても、会社が

いや、本人と直接話すよ

と言ってきたら、それを止める手段はありません。
これに気づく会社が増えてくると、業者を使う意味がなくなってしまうんですが、現時点では「会社が気にしない」ケースもあるので、そういう会社なら退職代行業者を使っても問題ないのかなと思います。

5つ目、退職代行を使われた時の懲戒解雇の方法を知らない会社

退職代行を使ったときに懲戒解雇ができるということを、その方法を知らない会社の場合。

懲戒解雇できるんですか?

って驚いた声が聞こえるんですけど、できますよ。

いやいや嵩原、お前、他の動画で『退職代行を使っても懲戒解雇できない』って言ってるじゃん

って思ったでしょう? 

だから、正確に言うと、「退職代行を使ったから懲戒解雇される」わけではないんです。
そうじゃなくて、正確には「退職代行をした日=会社に連絡した日」から無断欠勤した場合、それが懲戒解雇の対象になり得るんですよね

 

いや、連絡したらいいじゃん
そしたら2週間経過したら自動的に退職になるんだから、そんなの弁護士だろうが退職代行業者だろうが、そもそもそんなものを使う必要ない

って思ったかもしれない。でも、それはめちゃくちゃ危険だから。 

自分の勤めている会社の就業規則を一回チェックしてください。
絶対どこかの条文に「正当な理由なく○日間無断欠勤した場合は解雇する」とか「懲戒解雇する」って書いてあるから。

だから会社側も

おっ、こいつ無断欠勤してるな?
就業規則に書いてあるし、懲戒解雇できるじゃん

と気づいたら、普通に懲戒解雇してくるわけですよ。 

最近、退職代行の様子を動画にしてアップするのが流行ってるじゃないですか?
僕もたまに見たりするんですけど

ランキングサイト制作者

退職代行の○○です
本日、○○さんの退職のご連絡をいたしました
本人は本日出勤しませんので、よろしくお願いします

とか言って、電話を切る動画があるんですね。 

あれ、会社が素直に聞いてくれる場合はいいんですけど

よく考えたら、これって理由なく休んでるじゃん
じゃあ懲戒解雇できるな

と会社側が気づいたら、一気に懲戒解雇される可能性がある。
だから、僕はそういう動画を見てめちゃくちゃハラハラしながら見てるんです。 

重要なのは、なぜ出勤しないのかということ
その理由が正当なものなのか、ちゃんと裏付けがあるのか、それを事前に準備しておかないと懲戒解雇になってしまうリスクがあるんです。

顧問弁護士がいる会社だったり、社長が粘着質な性格で細かく調べるタイプだったりすると、この抜け道を見つけて懲戒解雇に持っていこうとすることもあるので、そういう場合は本当に注意してください。
僕は別の動画で「懲戒解雇のハードルは高い」と言っていますが、それは「理由のない欠勤が長期間続く場合」には懲戒解雇ができるという前提があるんです
だから、そういう会社相手だと、僕ら弁護士は「どうやったら懲戒解雇を回避できるか」というのを考えて対応するわけです。

6つ目、損害賠償請求を受ける可能性がゼロの場合

辞める人がしっかり引き継ぎをしていて、損害賠償請求を受ける可能性がゼロのケース。

これ、なぜこんなことを言うかというと、実際に引き継ぎをせずに突然辞めた結果、会社から500万円近い損害賠償請求を受けたケースがあるんです
これは本当に怖い話です。

いや、引き継ぎなんてしなくても、会社はどうにかするでしょう?

って思う人もいるかもしれませんが、実際、急に出勤しなくなったせいで会社が大きな損害を被ったら、裁判で「損害賠償を支払え」という命令が出ることもあるんですよ。 

だから、ちゃんと引き継ぎは最低限やるべきなんです。

 

どこまでやればいいの?

というのは業種によりますが、基本的には「引き継ぎ内容をまとめたものを残しておく」だけでもリスクは大きく減ります。 

例えば、

後任が決まるまで辞めさせない

とか

後任が独り立ちするまで指導しろ

というのは会社側の勝手な言い分なので、そこまでする必要はありません。
でも、最低限の引き継ぎをせずに「ポンッ」と辞めるというのはリスクが高い
こういうケースで問題が起きるかどうかは個人の判断にもよりますが、僕としてはリスクを減らすために引き継ぎはしておいたほうがいいと思います。 

7つ目、退職代行を使った事を全く気にしない場合

転職先が退職代行を使ったことを全く気にしないケース

普通は気にするんだけどね。
なぜ気にするかというと、テレビとかで「退職代行を使う=簡単に辞める人」とか「無責任な人」みたいなイメージが広まっているからです。
だから、それを真に受けて

退職代行を使った人は雇いたくない

と思う人事担当者もいるわけです。
でも、それってちゃんと説明すれば払拭できるんですよ。 

例えば、転職の面接で

前職はどうやって退職しましたか?

と聞かれたときに

退職代行を使って辞めました

パワハラがありました
自分で退職しようと努力しましたが難しかったため、弁護士に依頼して退職しました

この2つの言い方だと、後者のほうが圧倒的に印象が良くなりますよね?

そうやってきちんと背景を説明できれば問題ないんです。
でも

それでも退職代行を使った人は嫌だ

と言う人事担当者がいる会社はろくでもない会社なので、そんな会社には入らなくていいです。

退職代行を使ったことを理由に不採用にする

というのは、企業側のブラック体質を示しているようなものです

だから、ちゃんと話を聞いてくれる会社なら問題ないし、むしろそういう会社を見極める基準にもなるんじゃないかと思います。

今回は退職代行業者を使っても問題がないケースを7つご紹介しました
また次の機会にお会いしましょう。さようなら。

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