本当のところどうなのという皆様の疑問にお答えしていくブログです。
できればブログ内の動画の方をご覧ください。
弁護士の嵩原安三郎です。
今日はですね
残業代に関するよくある完全な誤解
を3つご紹介しようと思っています。
今日の内容は実は経営者の方にも聞いて欲しいと思っています。
というのは、悪気なく本当に勘違いしてるってケースがあると思うのでよく聞いて頂いて
あれ私間違ったんじゃないかな?
ということを気付いてもらったらいいんじゃないかなと思っております。
ではいきます!
1つ目:管理職には残業代が出ないという誤解
まず1つ目なんですけれども
管理職には残業代が出ないという誤解なんです。
いやいや、労働基準法という法律があってそこにはですね
管理監督者には残業代が出ない
ということが書いてあるじゃないか!
とこういうご反論、聞こえてくるんですけれども
これね、確かに合ってるんですけども、この管理監督者っていう範囲がね
すっごく狭い!
もう全然みなさん考えてるよりもずっと狭いです。
これ以前ねちょっと話題になったんですけども
マクドナルドの店長さんは
管理監督者じゃない
っていうことを裁判所が認めて、非常に多額のですね残業代を払えという命令を出したということが、まあ大分以前に世間ではすごくニュースになったんですけども
僕ら労働法を扱う弁護士からすると
もう全然そうだろうね
っていう常識的な判決だったんですね。
名前がよく知られている企業なのと、あと金額が大きかったので話題になったっていうだけだと思ってるんですけども
これね管理監督者っていうのは実はですね、条件が非常に厳しいんだけれども
その条件というのは
主に3つあって
1つ目:経営方針に直接関与する
これまあ言ったらですね、社長に「こんなことをやったらどう?」
なんて意見を言うとかじゃダメですよ。
それを決定するというこの会議の中に参加できるということ。
これがまず1個ね
2つ目:時間的な拘束がない
つまり昔でいう重役出勤ね。
今日眠いから11時に出ていくわとかってそういうのがOKっていうこと。
木曜日だし今日付き合いでゴルフ行こうとかいうも全然OKっていう、いわゆる時間的な拘束を受けないというのが前提なんです。
ですから、タイムカードを切ってるなんていうのがあると1発でアウトなんです。
3つ目:これはね、人事決定権がある
例えばお店でアルバイトを雇うのに、面接とか店長さんがするとするじゃないですか。
その店長さんが完全に自分で決められるっていう場合であれば、人事決定権があると言うんですけども
面接をして、実は上の方にお伺いを立てて、形式的かもしれないけども社長決めますということであれば
これは人事決定権はない
ということになるので、この場合は管理監督者に当たらないということになるんです。
って考えたら
どれだけいます?そういう人
非常に狭いです!
まあ言わば取締役とかそれに準じる人みたいなものでも
全部を満たす人はいるかいないか
ってとこじゃないですか?
例えばワンマン社長がいるような会社だと、いわゆるこの管理監督者に当たる人はいないでしょうし、普通の会社のね部長とか課長レベルでは残念だけどもこの3つを満たす人っていないんじゃないかな。
だから、そういう意味では何とか長がついたからもうそこから残業代出ないよとか、それに対して部長手当てを出しているからそれが残業代の代わりだよというのは
全然ダメです!
これは残業代が出ます!
2つ目:みなし残業代・固定残業代の誤解
2つ目ね、これは
みなし残業代とか
固定残業代
と言われるものです。
例えば基本給が20万で、3万円のみなし残業代とか固定残業代が付いているよっていう会社があるという、これよく聞くんですけれども
これですね、一応ね法的にはみなし残業代とか固定残業代っていうのは、一応認められています。
ところが、これを認められる要件が
非常にハードルが高くて
結構ね、これ超えられないんですよ。
で、1つはね
まず分離しないといけないんですよ。
分離って何かっていうと
基本給に含まれてますはアウト
だから
うち23万のうち基本給23万としてるけど、20万は本当は基本給で3万は残業代な!
なんていう、本当にぐるっとまとめてみたいなやつはダメです。
明確に分離してることが前提。
じゃあ分離してるとしましょう。
基本給と職務手当てみたいな名前でやってるとしましょう。
ならこれでいいかっていうと、これもね2つ目の条件があるんだけどもこの手当てっていうのが
就業規則とか
賃金規程
っていう会社の規定に明示されてないとダメです。
社長が思いつきでやりました。
それが何年も続いていますってのはダメです。
就業規則とか賃金規定に、例えば今さっき言ったあれで言うと職務手当てっていう項目があって、その職務手当てっていうのは時間外手当てのことですよっていう風に書いてないとダメです。
で、これね
めちゃくちゃ厳しくて、名前が少しずれるのもダメ。
例えば給与明細では「職務手当」てって書いてあるけど、賃金規定では「職務特別手当て」と出てるとか、そういうちょっとしたズレもダメです。
ですから賃金規定とか就業規則と給与明細ってのが名前が一致しないといけないし、少しでもずれてるとダメってことね。
3つ目
これめちゃめちゃ厳しいよ。
この賃金規程にちゃんと給与明細と同じ名前で決まっていますと。
職務手当てってどっちも職務手当てとなってますと。
ところが、この中身が重要なんです。
よくあるのはね、賃金規定の中に
「残業手当てや深夜手当てをいう」
と書いてあったらダメです
時間外手当なら、時間外手当てという風に1個に絞らないとダメ。
絞らないとダメなのね。
だから、時間外手当ても深夜手当ても含まれますっていうのは基本的にアウトです。
だからもっと厳しく言うと
「等」ね!
何とか等の「等」ってやつね。
これも入れてもダメです。
残業代「等」って入れた瞬間アウトになるから。
だからそういう意味では非常に限定的に決めてないとダメってことなんですよ。
こういう要件を満たさないと、まずこのみなし残業代とか固定残業代っていうのは無効になります。
無効になるってどういうことかっていうと
基本給に入れちゃうんです。
だからうちは20万で、そうすると残業代はこれぐらいだって計算している会社。
だから、そこから3万引くぜとかってという会社はダメ。
基本給を23万と
いや賃金規定には基本給20万
職務手当ては3万
と書いてあるんだよと言ったって
さっきの3つの条件満たさなかったら、これはがっちゃんこして基本給23万の会社という風に裁判所はみなしてしまいますから。
すごくこれは重い条件があります
ということを知ってください。
3つ目:年俸制だから残業代出ないという誤解
次ね
3つ目は
うちは年俸制だから残業代出ないっていう誤解です。
これね何となくわかるかな。
例えば会社に入る時にね
なんぼ欲しい?
600です!
とかね
じゃあ600万を12割して50万ずつにしようか
とかね
まあ結構給料いいんですけども、そういうもので決めたりとか
じゃあボーナスを夏2ヵ月、冬2ヵ月出るから
全部で16分の1にして、その16分の1を給与にしよう
なーんて決め方をしている会社があって、それを俗に年俸制とかって言いますけども
これ法的な意味では年俸制じゃないです。
何でかって?
だって例えばね
本当の年俸制っていうのはプロ野球見てください。
ね?
まあサッカーでもいいんだけども、
なんかね、何千万とかやるじゃないですか?
何千万と決めて翌年何千万な!
と決めてですね、その翌年始まってすぐケガして出場できないと試合にねずっと出られないとか1、2試合出たよといっても決めた年俸払うわけじゃないですか。
これがホントの年俸制です。
いや、お前サボったからさ
その分引くぜ
ってやってるんだったら
これはいわゆる年俸制じゃないです。
単にこの会社で決まってる労働日数ね
例えば200日でいいですよ。
200日×8時間
それ全部やったらいくらだって決めているだけ。
だからそれを超えた分、つまり残業代は出さないといけないですよ。
だからうちは年俸制だから残業代出ないよっていうのも誤解です!
だから、きちっと制度設計してそれも踏まえて作らないと会社経営者は痛い目に遭いますよ。
それ考えてくださいね。
ちゃんとそういうのを弁護士から指導受けてください。
大事なので経営者の方聴いてください
これ3つご紹介したんですけども、これは経営者の方に申し上げたいんですけども
これだけうちが払ってるから無限に働かせていいんだ!
とかね
これぐらいはオーバーしていいんだ!
働かせていいんだ!
っていう
いわゆる
労働サブスク!
みたいなのありませんから!
だからそういう意味ではきちっと
この日この日数、この時間に対して払ってるのがうちの給与だよっていうことを認識してもらって
非常に色んな残業代とか固定残業代色んなもの
要件厳しいですからね!
よかれと思って出してるものとか、そういうもの通用しませんから。
そのために社労士だったり、弁護士だったりいるんだけれども、本当の意味で労働法っていうのを詳しく知ってる弁護士って
そんな多くないです。
正直言って!
社労士さんもそこまで知っている方っていうのは、正直そんな多くないです。
だから気をつけて。
経営者の人もですね、誤解があっては
経営者もかわいそうやし
労働者もかわいそうやし
みんなかわいそうだから!
ちゃんときちっと指導を受けてください。
今日はですね
残業代に関する完全な誤解
というのを3つご紹介しました。
知識は武器ですのできちっとした知識を身につけてあなたの権利を主張してください。
ではまたお会いしましょう
さよなら!