過酷な労働環境で働いているエンジニアの方の中には、自分で退職を申し出ることができず、「退職代行」を利用する方も少なくありません。今回は、エンジニアの退職代行利用について解説します。
エンジニアが退職代行を利用する理由は?
エンジニアには、システムエンジニア(SE)をはじめITエンジニアなどさまざまな種類があり、その仕事内容は専門性が高い分需要が高く、将来性のある職業でもあります。
しかし、エンジニアは職場によっては長時間残業など労働環境への不満を理由に退職するケースは珍しくありません。
システムエンジニア(SE)などのエンジニアの方が退職代行を利用する理由について見ていきましょう。
長時間労働
業務内容が幅広く、個人のスキルに依存しやすい企業内エンジニアは、長時間労働になりやすい傾向があります。
高いスキルがあればより多くの仕事を任され、その分仕事時間も長引くことがあります。
また、システムトラブルなどが重なった場合、残業してその対処を続けることで、結果的に長時間残業になってしまうことがあります。
エンジニアのスキルは一朝一夕で身につくものではありません。
人材育成に時間がかかり人手が足りないことが、従業員の残業時間を増やしている理由のひとつです。
夜勤勤務による体力的負担
監視業務が中心のデータベースエンジニアなどの場合、土日や夜間での作業を行うことがあります。
こうした夜勤勤務や長時間労働が多いエンジニアには、体力的負担や大きなストレスがかかり、退職代行を利用して会社を辞めるというケースも多くあります。
不規則な勤務によって生活リズムが乱れ、体力・精神力共に消耗してしまうと、職場環境によっては自分で退職することが難しくなってしまうからです。
職場環境が改善されない
労働時間や業務量などに不満があり、職場環境が悪い状況を改善したいと思って直属の上司や人事に報告しても、会社側が改善してくれないというケースは多くあります。
劣悪な環境で心身ともに追い詰められていると労働環境の改善の声を上げることが難しいため、退職代行を利用して会社を辞めるエンジニアの方は少なくありません。
そもそもプログラムの開発とデバッグには、かなりのリソースがかかります。
しかし、システムを発注する側が必要なリソースを理解しておらず、案件が発生する上流の段階で、事実上その後の長時間労働を確定させてしまうことがあります。
そのため、開発を発注する側の全ての企業がリソースを理解する必要がありますが、まだこの認識に追いついておらず、そのしわ寄せがエンジニア個人の長時間労働に表れているのが現状です。
職場環境に不満を持ったままでは作業の効率も落ちてしまうため、無理をせずに退職することを検討しましょう。
人間関係が悪い
どんな仕事にも人間関係の悩みはつきものですが、上司との人間関係や職場内のコミュニケーションに強いストレスを感じるエンジニアの方は多くいます。
特に派遣のエンジニアの場合、派遣先の人間関係に悩むケースは多く、人間関係のトラブルで退職を選ぶ方も少なくありません。
また、案件を獲得する営業がシステムの開発を理解していないパターンもあります。
エンジニアは業務上人とコミュニケーションをとって進める業務が多いため、パワハラなどのトラブルで退職の意思を伝えることが難しい場合、退職代行を利用する方は多い傾向にあります。
エンジニアが安心して退職代行を利用するためのコツ
自分ひとりでは解決できない問題があり、退職が難しい場合、「退職代行」を利用するエンジニアの方もいます。
ここからは、エンジニアの方が安心して退職代行を利用するためのコツをご紹介します。
適切な依頼先を選び、事前に打ち合わせを行う
退職代行サービスは、「弁護士」「労働組合」「民間企業による退職代行業者」の3つの依頼先があります。
ご自身に最適な業者を選ぶことで、トラブルに発展することなく安心して退職することが可能です。
「退職の意思を伝えるのみ」であれば民間企業が運営する退職代行でも問題ありませんが、交渉・請求が必要な場合は「弁護士」に依頼するなど、ご自身にとって最適な依頼先を選び、事前にしっかりと打ち合わせを行うことが大切です。
退職理由を明確にしておく
退職代行を利用する際は、退職理由を明確にしておくことで適切な対応をしてもらいやすくなり、交渉・請求も円滑に進めることができます。
また、退職代行を利用すれば引き継ぎなしでも退職することはできますが、就業規則によっては最低限の引き継ぎをした方がいいケースもあります。
トラブルを回避して円満に退職するためにも、ご自身の状況に合わせて事前準備を行いましょう。
「弁護士」が運営する退職代行サービスを利用する
労働問題に強い弁護士が運営する退職代行サービスは、労働者本人に代わって退職の意思を伝えるだけでなく、法的交渉・請求を行うことで希望の条件で退職することができます。
有給休暇や未払い賃金などがある場合でも、適切な対応を行うことで円滑に退職手続きを行い、必要に応じて転職サポートなどのアフターフォローを受けることもできるため、退職後心配なエンジニアの方も安心です。
また、システム開発中の案件がある状況でも、その責任を負うのは会社であり、エンジニア個人ではないことを再度認識して下さい。
退職時に会社とトラブルに発展する可能性がある場合は、弁護士による退職代行サービスを利用するのが最も安心かつ安全です。
まとめ
今回は、エンジニアの退職代行利用について解説しました。
有給休暇や未払い賃金、退職金の交渉・交渉などが必要な場合は、弁護士に退職代行を依頼することが大切です。
劣悪な労働環境で働いているエンジニアの方は、ご自身の心身の健康を最優先に考え、適切な対応をしてくれる退職代行サービスを利用して環境を変えることを検討してみてください。