近年は看護師や医療従事者の方の利用も増えており、他の業種と同様に利用することができます。
病院奨学金制度で学費を分割納入している場合、退職代行を利用して退職することは可能なのでしょうか?
今回は、奨学金制度を利用している看護師の方の退職代行利用について解説していきます。
病院奨学金制度に加入している看護師は退職代行を利用して退職できる?
看護師で病院奨学金制度に加入しており、学費分割納入の場合、退職代行を利用して退職することはできるのでしょうか?
看護師の「病院奨学金」とは?
看護師の「病院奨学金」とは、病院が学費を支援してくれる奨学金制度です。
看護師、助産師、保健師を目指す高校生や看護学生を対象に、病院から一定額を支給してもらえます。
資格を取得し、看護学校を卒業した後は、少なくとも3年間その病院に勤務し、分割で支払う仕組みになっています。
病院によって奨学金の支給内容や申請条件は異なります。
奨学金を返済しなくても退職は可能?
返済と退職は別問題であるため、病院奨学金制度に加入しており、学費を分割納入している場合でも退職自体は可能で、法律違反でもありません。
労働者の退職の自由は、学費によって妨げられることはありませんが、退職したからといって奨学金の返済義務がなくなるわけではありません。
病院によって全額返済を求められるケースもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
看護師で病院奨学金制度に加入している場合でも「退職代行」は利用可能
看護師で病院奨学金制度に加入している場合でも、「退職代行」を利用して退職することができます。
弁護士や労働組合など、退職に伴う交渉が可能な退職代行サービスを利用することで、違約金や損害賠償請求などをしないよう、病院側と交渉が可能です。
法律的な問題や労働条件に精通した「弁護士」に退職代行を依頼することで、高額な違約金を請求するなど、強引な引き止めに遭っているなどトラブルに発展しそうな場合でも安心して手続きを進めることができます。
会社の承諾次第では、交渉して分割返済にして退職できるケースもあります。
看護師の奨学金の返済について
病院奨学金制度に加入しており、病院で働いている看護師の方の中には、「奨学金を返済中に退職したらどうなるのだろう」と気になる方は多いでしょう。
基本的に、多くの病院では奨学金の返済の途中で退職すると、返済を求めます。
必ずしも奨学金を返済しなければならないとは限らないものの、病院との約束によっては看護師が働いた期間分を考慮し、返済が必要になることを頭に入れていきましょう。
①返済金額・分轄する場合の一回の最大の金額を提示する
まずはじめに、こちらの考える返済金額(合計額)、および分轄する場合の一回の最大の金額を提示します。
提示した後は、先方からの返事を待ちます。
②先方の返事に合意できるかを検討する
先方から返事が来たら、その内容に合意できるかを検討します。
このとき、「受ける」か「受けないか」で再提案はしません。
先方も最終案として提示しているのがほとんどですので、先方の提示がこちらの提示と大きく異なる場合、再提案しても意味がないからです。
合意ができれば、合意内容を双方で確認し、合意します。
③合意できない場合、先方が裁判を起こすのを待つ
合意できない場合は、先方に合意できない旨を伝え、先方が裁判を起こすのを待ちます。
裁判では裁判官が両者の間に入って「和解」という話し合いによる解決を目指すのが一般的です。
その際、裁判官は「払えない額で合意しても意味がない」という観点から、こちらの要望もしっかりと聞いてくれるため、話し合いの時より相手が額を下げてくる可能性が高まります。
当事者間で和解・合意をすれば、その内容で決定となります。
④裁判でも話し合いで折り合いがつかなければ「判決」で解決を図る
裁判でも話し合いで折り合いがつかなければ「判決」で解決を図ります。
判決の際一括支払いの命令がでることがありますが、この命令に従わなくても原則として罰則はありません。
相手は判決にしたがってあなたの財産の差し押さえは可能になりますが、銀行預金や車、貴金属など財産的価値のあるものがなければ、差し押さえは空振りに終わります。
労働者の再就職先を把握していなければ差し押さえをすることはできませんし、できたとしても給与の一部だけになり、結局分割払いしているのと同様になります。
看護師が退職代行を使うメリット
人手不足が深刻化している職種でもある看護師は、職場の状況によっては「退職を言い出しにくい」という方も少なくありません。
労働者本人に代わって弁護士や退職代行業者が会社に退職の意思を伝える「退職代行サービス」は、自分で退職を申し出ることが難しい方にとって最適なサービスです。
ここからは、看護師が退職代行を使うメリットについて見ていきましょう。
職場独自の規則があっても自分のタイミングで退職できる
看護師業界は厳しい労働環境に加えて、「退職の申し出は3ヶ月〜6ヶ月前に行う」「看護部長や事務長と面談をした上で退職が決定する」など独自の就業規則が決められていることも少なくありません。
しかし、民法第627条では「雇用期間の定めがない場合は、2週間前までに退職を申し出れば退職することができる」と定められています。
国が決めた法律は、当然病院の就業規則より優先されますので、退職の申し入れから2週間が経過すれば退職可能です。
退職代行サービスを利用することで、職場の規則や暗黙のルールなどにとらわれることなく、自分のタイミングで退職できることが大きなメリットです。
出社して上司に顔を合わせる必要がない
上司によるパワハラや引き止め、同僚によるいじめを受けているなど職場での人間関係に悩む看護師の方は多く、そうした状況では退職の意志を伝えることも精神的ストレスがかかります。
有給休暇の消化など、「即日退職」に対応してもらえる弁護士による退職代行サービスを利用すれば、依頼した当日から出社する必要がなく、すぐに退職手続きを進めてもらえることで、心理的負担を軽減できることも大きなメリットです。
また、夜勤の拘束時間が長く、長時間残業を強いられていて心身ともに疲弊している場合も、退職代行サービスに退職手続きを任せることで強引な引き止めをされることもなく、スムーズな退職が実現します。
有給休暇や未払い残業代の交渉が可能
「弁護士」による退職代行サービスであれば、退職の申し出と併せて有給休暇消化や未払い給与・未払い残業代の交渉が可能です。
看護師の仕事が忙しく、有給休暇を取れていなかったり、未払い残業代などがある場合などは弁護士に相談を行いましょう。
なお、民間企業が運営する退職代行サービスは「退職の意思を伝えるだけ」であり、退職に伴う条件交渉などを行うことはできませんので、対応範囲を確認して依頼先を決めることが大切です。
まとめ
看護師で病院奨学金制度に加入しており、学費分割納入の場合、途中で退職する際はトラブルにつながるケースも少なくありません。
病院とのトラブルを防ぎ、和解交渉を行うためにも、弁護士が運営する退職代行を利用しましょう。