本当のところどうなのという皆様の疑問にお答えしていくブログです。
できればブログ内の動画の方をご覧ください。
弁護士の嵩原安三郎です。
最近では僕のツイッターなんかで他のコメントなんかで何回か言われたんですけれども

退職代行をやって会社から損害賠償請求を受けるってないでしょう?
他の退職代行業者なんかで聞いても

いや、損害賠償請求なんかない
言っているだけでしょ?
ということを言われました。
あと、

基本的に退職すると伝えたら、1週間で成立するわけだから、だから問題ないよね
損害賠償請求なんかできない
なんていう話も言われました。
確かにね、退職代行業者なんかのXとかインスタなんかもそうなのかな?

損害賠償請求なんかありません
なんて言っているけれども、あるよ。
ないわけないよ。
会社が損害賠償請求絶対しないなんていうのはおかしい。
全然駄目だって。
それは車に乗っている人が

いつもスピード違反とかしているし、信号無視をバンバンしているけれども
事故したことなんか一回もないよね
なんて言い切っているやつがいるとするでしょう。
それを聞いてどう思います?

今まで運が良かっただけ今に事故するでしょ
ってなるでしょ。
絶対同じことを思ってんの。
今日はもう20年以上、労働問題を扱っている弁護士の私、嵩原が退職代行をするときの本当のリスクについて解説します。
では行きます。
まず、2週間経ったら退職が成立するから損害賠償請求なんかあり得ない、という点なんですけれども、まずちょっとこれ誤解があるんですね。
確かに期間が決まっていない雇用はよく正社員なんかそうなんだけれども、この場合は確かに2週間たったら成立します。
でも、契約書に雇用期間が決まっているような、その場合は2週間たっても退職は成立しません。
正当事由というものが必要で、これがない限りは決まった期間は全部働かないといけない。
言って2週間で成立するってことはありません。
ですから、その人の事情事情を聞いて、

この人の場合は正当事由というのが成立するよね
とか

この人は成立しないよね
とか、成立するとしてもこれを用意しておかないといけないよね、なんということを判断しないといけない。
判断した上で会社から反論きたときに、どういう法律構成でこちらから

成立します、退職成立します
というふうに伝えるか、あるいはそのときに証拠を用意しておくのかということが必要になるわけですよね。

じゃあ、期間が決まっていない場合はいいの?
と言われたら、そんなことはないんですよ。
実際に急に退職した、急に連絡がとれなくなったっていう事例で、僕がやった事例じゃないんだけれども、有名な裁判例で辞めた人が会社から損害賠償請求をされて、裁判所が

480万円支払え
と退職した人に命令したという有名な裁判例があります。
会社から損害賠償請求を受け、裁判でも負けてしまった事例
これどういう人かっていうと、辞めた人っていうのはパチスロの会社で、ソフトウエア開発を行っていたプログラマーの方だったみたいなんです。
そのプログラマーの方が会社の上司なのか厳しく注意された。
この会社の方もブラックだったみたいだけれども、それを注意されたプログラマーの方がすごい腹立って、もう翌日から来なくなったそうです。
連絡も取れなくなったみたい。
その後しばらくたって同業他社に就職したと。で、会社はもうすんごい怒って

引き継ぎがちゃんとできていない

こいつが急に辞めただけで連絡も取れなくなった
おかげで、これまで受けていた仕事を断らないといけなくなった

外注もいろいろ雇わないといけなくなった
ということで、会社から損害賠償請求の裁判を起こされたんですね。
いろいろ反論をしたみたいだけれども、最終的には裁判所はこの突然の失踪、連絡も取れなくなるような失踪について、これを重く見て、これによって会社もいろいろな引き継ぎを受けていませんから、必要になった外注費、それはかなりかさんだみたい。
他にも仕事を失ったというような損害も含めて、480万円というふうに見積もりをして、この退職した人に損害賠償請求をしろ!
というふうに命じたわけですね。
その後、どうなったかというのは、この裁判例を見てもわからないんだけれども、就職先もわかっているわけだから、その就職先の給与を差し押さえしたりとか、そういうことをしたんじゃないかなと思います。
これは急に連絡がとれなくなったとか、あるいは引き継ぎ、何もしていないということが原因なんですけれども、その損害賠償、認められたんだけれども、うちでね取り扱ったような、たくさん取り扱っているけれども、その中でも損害賠償請求の裁判になったという事例は幾つかあります。
実際に僕等が代理人としてその裁判を担当したという事例はあります。
うちで扱ったものはそのために準備していますから、きちっと準備しているから。
例えば僕らが受任する前に何か物をなくしていました。
それを賠償し、これは仕方がないと思ったけれども、鍵をなくしましたとか、その鍵の分を賠償しますとか、あるいは僕らが入る前に会社から連絡を無視するようになって、それで会社がいろいろ費用をかけないといけなくなって、その賠償しないといけないとか、そういうのがあるよ。
そういうのはあるけれども、それ以外では、僕らが受任したときにちゃんと適切に対応したことで、会社から

やめたことで損害が発生した!
なんという損害賠償請求というのは基本的に負けてないです。
全部損害賠償は棄却という形で処理している。
フォーゲル法律事務所で受けた損害賠償請求の事例
例えば幾つか事例はあるんですけれども、紹介するとしたら、基本的にうちが請求を受けたものというのは
例えば鍵をなくしましたとか
何かをなくしましたとか
わざと壊しちゃいましたとか
物を壊しました
ということで、その賠償は仕方ないと思うんですけれども、あるいは僕らが入る前に急に本人が連絡とれなくなって、それで会社がいろいろなお金をかけないといけなくなった。
その賠償とか、そういう僕らが入る前の事情で、何か損害賠償請求、金額大きくないけれども、わずかながら認められたという事例はあるけれども。
それ以外で僕らが入ったあと、僕もちゃんときちっと対策やってますし、連絡とれるような状態に僕らを通じて、連絡を取れる状態にするしということで対策をきちっとするので、幸い今まで退職したということで損害賠償請求を認められたという事例には当たっていないんです。
何とか切り抜けたというのが、僕ら弁護士としていろいろ予想して準備していたことがあるので、何とか切り抜けているということなんだけれども、幸いにして退職したことで損害賠償請求を認められたという事例はないです。
実際に受けた損害賠償請求の事例をご紹介
一つご紹介するとしたら、ドラックストアをやめたという事例なんですけれども、あるドラッグストアの店長さん、この人の退職代行の依頼があって、僕らが連絡したその日から会社でなかったと。
この人ね期間が決まっている雇用契約だったんですけれども、エリアマネージャーってあるでしょ?
各支店がいっぱいある、その支店の店長をさらに統括して10個の店を見ているっていうのかな。
統括するエリアマネージャーさんがいたりするんだけども、そこからかなりのパワハラと言っていいような扱いを受けていたんですよ。
それで体調も崩して、やっていられないことで辞めるんですけれども、事前に言われてたんです。
このエリアマネージャーさんって

基本的に嘘つきだから、会社に嘘の報告もしていると思う

だから辞めた僕が悪いことも多分いっぱい言っていると思う
しかも粘着質だから、訴訟になる可能性が高いと思います
と言われて、そうなんですねと言っていて、実際訴訟になったんですね。
いろいろ言われました。

期間が決まっているのに辞めたことが違法だ!
とか、

出していた診断書も嘘の診断書だ!
とか、あるいはあることないこと、いろいろなことを言われて。
あとはこの店長が辞めたことでこの店を閉めないといけなくなったから、この店を閉めることで失った利益を損害賠償請求受けるとか、この店に充てた備品を全部二束三文で売っちゃったので、その本当の価値から急にに売らないといけなくなったので、この価値分だけ損したとか
いろいろなこと言われて、1000万くらい請求受けたのかな。
1000万超えていたんじゃないかな、請求を受けました。
これもう2年ですよ!
2年かかって相手のエリアマネージャーも呼んで、証人尋問をして、ボッコボコにしましたけれども!
本当にボッコボコにしてやりましたけれども、結局、全面的にうちの主張が認められて、全面勝訴、1円も払っていないという勝ち方をしました。
あまりにも勝ち方が0となったので、0になったから絶対控訴するやろなと思ってたけれども、幸いボロッボロにしてやりましたので控訴がありませんでした。
ちなみにうちの退職代行は「損害賠償あんしんプラス」と言って、損害賠償請求に対して弁護士は要らないよというコースがあるんだけれども、そこに加入してもらっていたので、弁護士費用で追加はいただかなかった。
実費をもらったくらいです。
実費というのが交通費とかそんなもらいましたけれども、そんなに大きくならなかった。
それで損害がほとんどなかったと。
損害賠償請求をするってことは、幸いにもなくて済んだというのがありました。
だからね、突然出勤しなくなるということについては、損害賠償請求を受ける危険がある。
その会社が言っていることが不当だとしても、損害賠償請求を受ける、裁判になるという危険があるということは、本当にきちっと頭に入れておいた方がいい。
うちに依頼してくれた人に関しては、うちは分析して準備して、場合によってはコースを用意して、裁判起こされても追加で弁護士費用要らないよというような用意して万全の対策はしているけれども、そうじゃないところがどうしてるか僕は知らない。
他のところ全く知らないから。
だからそこがどうなっているのか、たくさんの弁護士費用を後で払うようになっているかどうかも知りません。
損害賠償請求が成立しているかどうかもわかりません。
だけれども、きちっと対策必要ですから、それをリスクとして覚えてください。
あまり知られていないもう一つのリスク「懲戒解雇を受けるリスク」
損害賠償請求のリスクは言ったんだけど、実はそれだけじゃないんですよ。
もう1個リスクがある。
これは実はあまり知られていないリスクなんだけれども
懲戒解雇を受けるリスク、これなんですよ。

いや、あなたは別の動画で懲戒解雇を会社がするというのはめちゃくちゃハードル高いよって動画つくっていたでしょ
確かに普通だったらそうなんですよ。
だけれども、あなたが勤めている会社の就業規則一回試しに見てください。
どこかに必ず
理由なく◯日欠勤したら解雇って書いていますよ。
14日とかよく書いています。
これ理由なくというのがポイントで、これは連絡とれずにということと思ってください。
だから退職しますって連絡した日から出勤せずに2週間を迎えるということになると、さっき言った就業規則の14日間、理由がなく欠勤した場合に、バッチリ該当しちゃうわけ。
そうすると解雇ということができちゃうんです。懲戒解雇とかね。
そうなるとどうなるか?

どうせ辞めるんだから懲戒解雇でも何でもいいっす
って割り切ってくれるんだったら全然いい。
でも多くの方が気にするんじゃない?
例えば次の転職先で

前の会社はきちっと連絡して辞めたんですよね?
というときに、実は懲戒解雇を受けましたって正直に言う?
これは正直に言っても大変やし、嘘を言っても後でばれると大変ですよね。
もちろん懲戒解雇と言っても成立しない場合はあるから、言われるだけは怖くないですよ。
でも今のは実際に成立する懲戒解雇だから。
だからめっちゃくちゃ危険なの。
これ、実は気づいている弁護士と気づかない弁護士がいて

退職代行って言われたけど、いいやもう仕方ない、仕方ないけど辞めていいよ
というふうなところだと、全然問題ないですよ。
でも結構、粘着質の会社の社長さんとか、結構会社にいいところを見せようっていう弁護士だったりすると、就業規則なんかないかなと思って見るわけですよ。
で、見たら書いてあるわけですよ。
書いてあったら

懲戒解雇しようぜっ
て思っちゃうわけ。
損害賠償請求ってのは実はできるんだよということを発信している弁護士さんもいるみたいですけれども、この懲戒解雇できるよっていうことは、実はまだあまり知られていないんだけれども、でも気づいている会社は結構あるよ。
だから、それはリスクとしては今後もっともっと大きくなると思う。
ちゃんと対策していなかったら、そうなった後にこっちに連絡あって、

不当解雇助けてください
と言われても無理だから。
だって不当解雇じゃない。正当な解雇ですよ。だからもちろん僕らは対策しているよ。
だって当然こうなったら解雇成立するってわかっているから、それを避けれます。
業者を使っての退職後、会社とあなたが連絡が取れないとめちゃくちゃ危険です
1個だけ言うとね、連絡とれないってこと。
これめちゃくちゃ危険があって、こういう話をするとね、

いや、嵩原よ、弁護士使ったら代理人として連絡とれる状態っていうのはわかるけれども、でも退職代行業者でもちゃんとその退職代行業者使って連絡とれる状態になっているから大丈夫じゃない?
と言っている人、今動画の前でもいらっしゃると思うんです。
だけど、間違っているから!
だって言っているでしょう?業者自体が。

私たちは代理人にはなれません
って、退職代行業者っていうのは伝えるだけの使者。
使う者って書くんだけど、お使いの者と書いて使者って言うんだけど。
だから退職しますってことを伝えたらお仕事終わりなんです。
あなたの代わりにあなたの代理人として会社が言うことを受けとめたりね、代理人だから、窓口としてこの人がいれば何も本人は答えなくていいという状態じゃないんですよ。
だから、会社からこの退職代行を使った人ね、その人に連絡あったら(あなたが会社に)応える義務がある。
その本人がね。

いや、無視する、無視する
うちの退職代行業者が窓口やってるから無視すればいいんだ
と言ったら、こういう会社からしたら代理人がいない状態で本人が無視しているという状態だから、それは連絡がとれない状態ってカウントできるんですよ。
単なる退職代行業者がね、私たち窓口にしてくださいというのは、僕は法的根拠は何だろうなといつも思っている。
言ってしまったら、会社がそれに

そかそんなものか
と思って従ってくれているから、もうぎりぎりセーフというだけでセーフというか、免れているだけで代理人じゃないからね。
会社が本人に連絡したら、取らないといけないんですよ。
弁護士の場合は代理人ですから、本人が無視しても
俺、代理人だから俺に言ったらいいんだ
こう言えるよ。法的に。
本当に不思議になるんですよ。
正直言うけど、わざわざ無資格の人を使う意味がわからないですよ、はっきり言って。
例えば金額が無資格の人に頼んだら1万円で済みます。
資格のある弁護士に頼んだら10万円かかります。

10万か、、じゃちょっとリスクはあるけれども無資格者
これはわかるけど、他の事務所も、それはうちもそうだけれども、頑張って値段をぎりぎりまで下げているわけで、うちでも一番スタンダードな対応するコースで言うと、実質2万5000円でやっているわけですよ。
めちゃくちゃしんどいよ。
めちゃくちゃしんどいけれども、やっているわけですよ。何とか一人でも救いたいと思っているからね。
ほとんど差がないわけですよ。なんなら、特定の業者と比べて安かったりする。
だから、それだけでやっていて、わざわざ無資格者を選ぶ理由を本当にわからなくて、これも人それぞれの考えだから別にいいんですよ。

何とかというところ、すごい感じがいいからそこでやります
それは自由。
だけれども、リスクがあることは本当に考えてほしい。
発言には根拠と裏付けを持たせるためにめちゃくちゃ勉強しています
僕らって皆さんが思っているよりアホじゃないですよ。
弁護士なるのにめっちゃ勉強してきたし、その後、本でわからない実務のいろいろなやり方とか、こんなこと言われるんだとか、これをこう躱せばいいんだとか、裁判例とかめちゃくちゃ勉強して、僕だって20年以上労働問題をやっているから判例もよく変わるんですよ。
だからそれを一生懸命勉強してるの。
その中でこういった答えをしてってということを出しているわけ。
それが資格があるという話なんですよ。別に国家試験に通ったからどうとかいう話じゃないんですよ。
それはちょっと理解をしてほしいんですよ。
本当に。

別に嵩原苦労して頑張ってるから褒めてあげようぜ
なんて思ってもらえなくてもいいけれども、一生懸命努力して知識を身につけているんです。
今もそれやってやっと出来る話だから、そこはちょっと理解してほしい。
ちなみに実質2万5000円のコースもあるって言ったけど、あれ何っていうと、僕が夜中まで一生懸命夜中に退職代行の通知書をつくったりしているんですけど、僕が動く限りコストってかかんないからね。
人を使わないから人件費がふえないわけですよ。
だからそれで何とかやっているというのが本当のところで、めっちゃしんどいんですよ。
でも、そうでもないと、やはり無資格の人がやっているところに行ってトラブルになっている事例で相談があるから、それを少しでも減らしたいという気持ちがあるんだよね。
別の動画で無資格の人がやっているところに頼んでもいいというケースってあるよということもご紹介しているので、うまく使い分けてほしいと思っているんだけれども、でも、本当にリスクあることはわかってほしい。
だから、ちょっと横道それましたけれども、連絡した日から出勤しないっていうのは、損害賠償請求を受けるというリスクもあれば、懲戒解雇を受けるというリスクもある。
ほかのところもちゃんと対策をしていると思ったら、そこ頼めばいい。
でも、リスクがあること自体は十分わかってほしい。
そして、そのリスクというのは、ちょっとネットの知識でワーとやったらできるほど正直簡単じゃないよ。
簡単そうに僕が言っているけれども、簡単じゃないんだよね。
本当にそこは理解してほしいです。
文字面でも簡単にちょこちょこっと書いたりしたりしますけれども、その裏にはいろんな計算をして、この人はこれで大丈夫と思うから、ちょっとこれしてくださいと書くだけですからね。
これ言ったらね、僕らもね、多分これ退職代行の人が成り済ましてやっているんだろうなって思う相談とかあるんですよ。
さすがに依頼までしてこないだろうなと思うんだけれども、相談の中で答えたりするんです。
真面目にね。
そしたらそこだけ抜き取られて、今日答えたことが別の退職代行業者にそのまま使われているなんということがあるんですけれども、でもそれは本当にエッセンスだけだから、十分わかってくださいよ。
皆さん、ちょっと胃の手術するからとパーッと切るときに

俺、切り慣れているから
という無資格の人に頼まないんじゃないですか。
ごめんなさい、もうちょっと愚痴っぽくなっちゃいましたけれども、僕も一生懸命頑張っているってことをちょっとわかってほしいという、そういう愚痴だったかもしれないですけども。
すみません。
今日は退職代行を使う本当のリスクについて、20年以上労働問題を取り扱っている弁護士の嵩原がお話ししました。
それではまた別の動画でお会いしましょうみたい。
さようなら。