懲戒解雇になるのは誰！？みんな誤解している懲戒解雇について！

このブログは退職代行サービスについて
本当のところどうなのという皆様の疑問にお答えしていくブログです。

弁護士の嵩原安三郎です

今日はですね
ちょっとみなさんが誤解してるんじゃないかなーって思う懲戒解雇についてお話しようと思っているんですね。
この前ショート動画作って懲戒解雇についてお話したんですけども
本当コメントいっぱいつけてくれたんです。

でもそれ読んでいると
これ結構みんな誤解してんなー
と思ったんで
今日ちょっとこの動画作ってみようと思いました。
でね、懲戒解雇ってね意外にハードル高いんですよ！

まずみなさん大前提として、解雇って2種類あるのかご存じです？

これね
普通解雇っていうのと
懲戒解雇っていうのと
2種類あるんですよ。

で、普通解雇っていうのはまさに普通の解雇。
まあ普通の解雇って何やって話なんですけども（汗
どっちが悪いっていう話じゃないんだけども、ちょっと雇用継続難しいよねっていうものなんです。

例えば、休みの日に車乗ったら交通事故に遭って寝たきりになってしまったと。
もう働けないですよね。
そうすると会社としてもこのまま雇用継続ってわけにいかないんでやむを得ず解雇であるとか。
あるいは、会社をもうなくしてしまう、潰してしまうんだと。
そうすると従業員は当然雇えないんで、解雇っていうことがありますよね。
そういうやむを得ないものというものに、普通解雇というのがあるんです。
もちろん色んなケースがあるんで、他にもいっぱいありますけども
そういうのが普通解雇。

特に就業規則見てみたら、能力不足で普通解雇っていうのを書いてるのもあるんですけども
能力不足で普通解雇って相当ハードル高くて、現実にはほとんどないです。
これあの…
弁護士が書いてるサイトでもなんか簡単にできるみたいなとこあるんですけども
全然違いますから！
労働法をやったことある弁護士だったらそんなこと書かないと思うんですけどね。
まあいいや！

で、もう一つがね
みなさんご注目の懲戒解雇なんですけども。
懲戒解雇ってのは、懲戒って言葉がついているように罰なんですね。
要するにペナルティとしての解雇なんです。
当然悪いことしたんだったらペナルティとして解雇っていうのができる。
…って皆さん思います？

例えば
ペナルティでいうと、もう一番のペナルティは刑法ですよ。
刑法は例えば万引きしたら懲役これぐらいだよって定めているわけですよね。
で、万引きしようが、痴漢しようが全部死刑や！っていうのがあったら
え？って思いません？
会社で解雇っていうのは、その会社から出て行けっていうことなので、言わば刑法でいう死刑と同じ扱いになるわけですよ。

そしたら
どんなちっちゃな悪さでも関係なく全部懲戒解雇や！
こんなわけないですよね？
みなさんもそれはご理解いただけると思うんですよ。
でもこの懲戒解雇っていうレベル、認められるハードルがかなり高い。

でね、どんな人が懲戒解雇できるのか？
今からねみなさんにね、5人のちょっと悪いか大分悪いかは別として、問題社員を5人紹介します。
みなさんその会社の経営者だと思ってください。
で、その内
「あ、こいつ懲戒解雇だな」
「いや当然懲戒解雇認められるだろう」
っていう人を何人か数えてみてください。

いいです？
いや嵩原がそんなことを言うぐらいやから、めっちゃ少ないんだろうなってそりゃ予想立つと思いますけども、みなさんの今の感覚で嵩原無視してこの人は懲戒解雇当たり前じゃない？
っていう人を単純に数えてください。

まず1人目A
こいつは採用の時に問題あり。
このAはね、履歴書出して会社の社長と面談して採用されるんですよね。
社長は今あなたですからね。あなたと面談して採用された。
で、その時に履歴書を見てみたら

君A大学なの
ああそうそうあそこの大学なんだ
へ～
まあ僕は違うとこなんだけどね。
今回のうちの仕事と直接関係ないけども
まあそうなんだ

で、他のこと色々聞きながら採用した。
だからこの社長は、頭の隅にはこの大学出身だなということは覚えてたんだけど、別にそれを重視したわけじゃないんで会話もしなかった。
でもある日何年か経った後にふと昼休みにAと食事したら

僕の出身の大学でどこどこにあるんですよ

って言い出して全然違うこと言い出したわけですよ。

いやいや！ちょっと待ってちょっと待ってと
お前違う大学言ってなかった？
履歴書書いてなかった？

え？

ヤバッて顔ですね

ちょっと待って
履歴書見てみたらいやいやお前違うとこ書いてるじゃん！
いやおかしいやん！
おまえ俺に嘘ついてたん？
いやもうあかん、そんなやつ信用でけへん。
うん、これ嘘つくんやったら他何嘘ついてるかわからん。
俺はこれからずっとあんたの事は信じられないやろ。
もうあかん解雇や！

それがA

次B
こいつは言うこと聞かない。
もうね何かと上司に反抗するの。
上司が

Bさんこうしてくださいよ

って言うと

いやそれおかしいんじゃないですか？
いやもういいんですいいんです。
聞きたくないです。
僕はそれはできません！

いやそれおかしいんじゃないですか？
いやもういいんですいいんです。
聞きたくないです。
僕はそれはできません！

いや、あなたは前言ってた指示と今回違うじゃないですか！
事情変わった？いや関係ないですよ。
前言った通りしか私やりませんから。
だからいいです聞きません！
やりません。
いや上司さん、あなたの言ってるのはおかしいですよ！

（机バンバン叩きながら）

そんなやり方何やってんだよ、バカじゃねーか！

とか言う
こういうふうに上司に突っかかるB。
社長としては何回か注意するんだけどもなかなか改善しないんですね。
というBです。

次C
この人はね、真面目なのかもしれないけどもルール守らん。
何かっていうとねその会社では情報漏洩っていうのをすごい気にしてて
会社の業務のデータを家に持ち帰っちゃダメってしたんですね。
時々そのUSBとかパソコンをどこかに失くしちゃって漏れるなんていう事件、聞くでしょ？
テレビなんかであるけども、それすごく気にしてて持ち帰っちゃダメって言ってたんですよ。

このCさんね
ちょっと仕事も遅いものだから時間に間に合わないです。
だからこっそり持ち帰ったんですよ。
で、それ上司に言えばよかったんだけども
上司に言ったらもちろんダメって言われるから、能力あかんお前能力ないなって言われるのも嫌だったのでこっそり持ち帰って仕事してた。

それがね、ふとしたことでバレちゃった。

いやお前真面目にやろうっていうのはいいけど、それでもし失くしたらえらいことになるで

上司

今回失くさんかったけどもそれを禁止してたのに、それをわざわざ黙って持ち帰るって何事や！
そんなやつはもうこの会社いてもらったら困る。

という解雇
これCね。

さっきのBよりはねアレやけど、ちょっとでも会社の方針からするといてもらうと困るかな。
示しつかないもんね。

次D
このDはね
まあ、係長ぐらいと思ってください。
部下が数名いるんですね。
その中に女性がいた。
飲み会なんかするんですけれども。
そうすると、ちょっと酔っぱらっていい気分になってその女性を呼んでですね

おい、お前このうちの部の中でうちの係の中で誰が一番好み？

とかって聞くわけですよ。

言わないと〇〇するぞ

って、いわゆるセクシャルなことを言うわけですね。
で、それだけじゃなくてもっとこう寄ってくるとですね。
もう女の人の手を握るわお尻触るわって、もうめちゃくちゃなんですよ。
普段でもねみんながいる前で、その女性の体のことを言ったりするわけですよ。
もう典型的なセクハラ上司！

それをたまたま聞いてた社長が

いやお前何してんねん

と、それで調査すると出るわ出るわ。

まあ確かに二人っきりで会ったりとかっていうそういうのは出てこなかったんだけども
まああまりに多い！

お前ちょっとうちはそういうの女性の社員も多いんだから禁止してるやろ！

で、もう1発解雇。

次最後ねE
これはねもっと悪質。
痴漢で逮捕されちゃった。
まあ特にこの会社もセクシャルハラスメントなんかに気を遣ってて、そんなの止めようぜっていう話を社内でちょうどやり始めた時に痴漢で逮捕されちゃったと。
まあ確かに罰金刑って罪は軽かったんだけども、それでも
いやいやいや困ると
特に接客業の会社だったんで、女性のお客さんも多いんですね。
なので報道されなかったのは幸いなんだけども

そんな噂広まったらウチの会社なんか吹っ飛んじゃうわ。
えらいことなるわ

という…

君、今まで真面目にしたけどもそれやったらそれはあかんわ

解雇！

さあ5人です。
みんなの中でも何人か解雇しました？
何人解雇しました？
1人？2人？3人？
まあ5人って人はいないかもしれないけれども
…いるかな？
みなさんの正直なところだったら、5人って人もいるかもしれないね。
これ全部裁判になった事例。
いいです？
この中で解雇が有効になったのは
ゼロ！
いないんです。
それはみなさんの常識と合ってます？
これ、何かっていうとね
解雇ってするには、いいです？

例えば経歴詐称で、もしそれ初めに聞いてたら、A大学じゃなくてBと聞いていたら採用しなかったのに。
なのにっていうような場合。
そういう場合だったら解雇を認められることもあるんだけども、そんな気にしなかった。
確かに嘘はあかんよ。
嘘は駄目ですよ。
なので、他の懲戒なら有効だったかもしれないけども。
解雇は駄目とか話聞かないってのもあったけども。
でもこれじゃあ注意をして、例えば配置転換して、上司と話すとかそういう努力も会社してないでしょう？
ということで解雇は無効。

データを持ち出しっていうのもですね、これ本当に実際には漏洩されてないわけですよ。
ということでこれも解雇無効。

でさっきの…
さっきのっていうかDかな
女性に宴会の席でこうワーッと気持ちよくなって言ったりする。
この人もですね、まあ女性にとってはたまらない。
たまらなく嫌だけども、陰湿なところはなかった。
隠れてコソコソはなかった。
ということで
すっごい悪質、めちゃくちゃ悪質だけども
解雇には足りないんじゃない？
ということで懲戒解雇は無効。

最後の痴漢
これもですね、痴漢はめちゃくちゃ悪い。
めちゃくちゃ悪いけれども、罰金刑ってまあ軽い方なんですよね。
で、しかも示談の努力を一生懸命してそれまで何も懲戒処分なんか受けるようなことなかった。
それは真面目な人間だったということでこれも…
まあ懲戒解雇っていう気持ちはわからんでもないけども無効

解雇は無効となったという事例なんですよ。
分かります？

これ要は最終死刑というのにあたるこの解雇ってするためには
相当それを避ける努力、解雇回避義務ってあるんですけども、それをやったりとかですね
注意を何度も繰り返しててそれでも駄目とか、他の方法では今のトラブルを回避することはできなかったとか、あとこれまでの真面目さってのも評価されるんですよね。
解雇って1発退場なんで、1発退場にする前に
これまでずっと一生懸命頑張ってきた。
真面目にコツコツ頑張ってきた。
でもこの一回でこれだけやってきたことを全部吹っ飛んじゃうような
そんなことがあったんですか？
ということも考える。
ですからまあ長く勤めれば勤めるほど懲戒解雇のハードル高くなっていきますよね。
そういうようなことで裁判所は考えたんですね。

じゃあ実際に懲戒解雇は有効なる事例っていうのを一応紹介しておくとね
例えば嘘をついて手当をね、単身赴任手当とか色々な手当をですね嘘をついてもらっていた。
これデカいですよ。
3年間で400万円以上もらった。
この人、懲戒解雇有効！
400万はさすがに有効かな。
逆にもっと低かったらこれはわからないですよ。
あとね、会社が開発中の商品のデータを競合他社に漏洩して実はそのサンプルまで作ったという悪質な事案。
これも懲戒解雇有効！

あとね、同僚にお前何だコラテメェ！
って言いながら、暴言吐きながらバーンって殴った。
怪我は幸い全治1週間ぐらいの軽いものだったけれども、怪我してしまったというようなものね。
これも懲戒解雇有効。

あとね、部下にテメェとかアホとかですね
いつでも辞めさせたるという暴言を繰り返し繰り返し言って
で…土日の休みに、LINE自分が送ったらすぐ返事せえ！
って電話してワーッとわめいたりですね。
それを会社が注意するんですがそれも聞かずにどんどんエスカレートしていって、最後にその部下が適応障害っていう病気になっちゃうんですね。
これはアカンっていうことで解雇。
解雇が有効になりました。

あとね
経歴詐称で言うと
さっきあのこれ聞いてたら雇わなかったのにってのがあれば解雇有効って言ったんだけども
これプログラマーで募集した時に応募してきた人が履歴書見ると
どこどこおっきい会社に勤めたと書いてるわけですよ。
で、書いてあって
ああこんな職歴あるんだったらこの人すごいできるよねって
コンピューターって言語ってあるんですけども
何々できると話したたので雇ったら全然できなかったというようなね
そういうような職務に直接の支障がある嘘をついた。
そういうような場合。
これも懲戒解雇有効とされています。

分かります？
これ、本当に会社も努力しないといけないし
これがあるともう社員としてはもう駄目だっていうような、もう本当に限定的なものをしないといけない。

あとね
そういう悪さはあるんだけども、会社がその人の言い分を聞くという機会を与えずに解雇したもので、解雇無効とされたものもあります。
という風にするとね
相当ハードル高いんですよ！
よく言うのはね
まあこれ分類の仕方でいっぱいあるんですけども、5つぐらいの要件を満たさないといけないって言われてて
まず解雇にしないといけないぐらい重いという
『重』

次
これまでも色んな悪さをしていて、それに対して厳重注意も含めた懲戒処分も含めた指導をいっぱいしているという処分。
『処』

次
これをやると、懲戒解雇するよっていうことがちゃんと就業規則に書いてあるっていうこと。
書いていないものはできないですからね。
規則の『規』

同じことをした別の社員も同じ処分していますよという
『同』
同じっていう要件。

そして、社内で裁判に行った手続き。
その人を呼んでちゃんと言い分を聞き、そしてみんなでそれを持ち帰って裏取りもし、この人を過去の事例も全部見た上で最後に判決みたいにあなたは懲戒解雇という風に決めるという
いわば疑似裁判ですよね。
そういう適切な手続きを行うという
『適』

という重・処・規・同・適
というですね。
5つの条件は満たさないといけないと言われています。
この文字は僕が勝手に言っているものなんですけれども。
こういうものを見て懲戒解雇の有効無効を決めています。

ですから、これだけのことを満たさないものというのは、懲戒解雇をしても無効だっていうことなんですね。
でも要するに言われても無効なんで、聞かんでもいい。
要するに裁判官が普通の休みの時に近くに寄ってきて、おまえ気に食わないから死刑って裁判官が言ったからといって、僕死刑になることないわけじゃないですか。
そんなものちゃんと手続せぇよっていうような話なわけですよ。
ですから会社が手続きも経ず、ちゃんと妥当な条件を満たさずに懲戒解雇って言ったって、これは無効なので効果はない。
ただ言った言葉がひらひらとどこかへ飛んでいくだけなんですよね。

ですから
もう履歴書に書く。
もちろん履歴書に懲戒解雇って書く人そもそもないんだけれども
こんな会社いいわって見切りをつけて辞めたとしてもですね、その次の会社に言う必要はないんですよ。
でも言われたことは気持ち悪いと、
言われたことで例えば退職金ももらえなくなりましたよとか、即日今日退職やとって言って、
いやいやおかしいやん

俺本当やったら働いて給与をもらえるはずだのにっていう収入が断たれましたよっていうようなものであれば裁判を起こして、裁判で懲戒解雇無効っていうことを確定させる。
これ裁判といっても、普通のいわゆる労働裁判という普通の裁判と労働審判っていう3回で終わる裁判もあるので、まあこれなんか利用すると結構ね簡単に決まったりするんですけども
まあこういうものを駆使しながら裁判や、いわゆる労働審判とかですね
あるいは仮処分っていういう手続きもあるんですけども。
どれも裁判所使うんですけども、思ったより簡単！

会社側からすると思ったより重い裁判をしないといけない。
これね何で会社が重いかって言うと、懲戒解雇は有効だっていうことを会社側が立証しないといけないんですよ。
で、立証に失敗すると労働者の勝ち。
つまり会社は解雇って言ってから、その判決が出るまでの分の給与も全額遡って払わないといけないし、その社員を復帰させないといけない。
っていうことになるんですね。
まあ、裁判となるとうわぁ～って思うかもしれないけども
もう解雇それでいいやって思うんじゃなかったら、この裁判というのを経れば実際それまで裁判が仮に半年かかったとしたら半年分、まあ1年かかったら1年分の給与が後でどんどん入ってくるわけですからね。
そう考えてやる。
まあ仮処分なんかだと数ヵ月で終わっちゃいますからね。
そういうものを使うということができます。
これはまた詳しく手続きについてもお話しようと思ってます。
そういうようなことで、会社からお金を払ってもらうということも可能だということです。

『まとめ』