この記事の執筆者
フォーゲル綜合法律事務所
共同代表弁護士
嵩原 安三郎
たけはら やすさぶろう
退職・労働問題を中心に、企業と個人の双方における法的問題解決に従事。
退職代行分野において日本有数の実績を持つ。
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弁護士の嵩原安三郎です。
私は退職代行で2万人超の相談に向き合ってきました。最初の相談で多いのは、「こんなことを人に頼んでいいのか」という迷いです。
迷って当然の場面です。
ただ、退職代行は逃げ道ではありません。辞めるという本人の権利を、会社に届けるための手段です。
この記事では、退職代行の仕組みと流れを説明します。運営元によって何が違うのか。どこに頼むかを決める前に、何を確かめればよいのか。そこまでまとめました。
弁護士にLINEで無料相談する退職代行とは?会社に「辞めます」を代わりに伝えるサービス
退職代行とは、本人の代わりに、会社へ退職の意思を伝えるサービスです。
先に、大事な前提をお伝えします。
辞めるかどうかを決めるのは、会社ではありません。本人です。
期間の定めのない雇用なら、退職を申し入れてから2週間で雇用は終わります(民法627条1項)。会社の許可は要りません。
契約社員など、契約期間の定めがある場合は少し違います。期間の途中で辞めるには、原則として「やむを得ない事由」が必要です(民法628条)。もっとも、1年を超える契約で1年が過ぎていれば、いつでも退職を申し出られるとされています(労働基準法137条)。
つまり、退職代行が「辞める権利」を作るわけではありません。もともとある権利を、会社と顔を合わせずに使えるようにする。それが退職代行です。
退職代行を使う人に多い理由
相談を受けていて多いのは、次のような場面です。
退職を切り出したら、引き止められて話が終わらない。上司の名前が画面に出ただけで、メッセージを開けない。パワハラを受けていて、会うこと自体がつらい。「辞めるなら損害賠償だ」と言われて、怖くなった。
どれも、本人の甘えではありません。会社と一対一で話すと、立場の差がそのまま出る。そういう場面です。
- 退職を決めるのは本人で、会社の許可は要らない
- 期間の定めのない雇用は、申し入れから2週間で終わる
- 退職代行は、その意思を本人の代わりに会社へ届ける
退職代行の流れ|相談から退職まで
一般的な流れは次のとおりです。細かい点は、依頼先によって変わります。
1.相談する
LINEや電話、メールで、今の状況を伝えます。勤務先、雇用形態、辞めたい日、有給休暇の残り。分かる範囲で構いません。
2.申し込んで、料金を支払う
内容と料金に納得したら、申し込みます。支払い方法は依頼先によって違います。
3.打ち合わせをする
退職日、有給休暇の使い方、会社から借りている物の返し方を決めます。会社に伝えてほしくないことも、ここで伝えてください。
実は、ここが一番大事です。
会社に何を伝え、何を伝えないか。そこが曖昧なまま連絡すると、あとで話がぶれます。
4.会社に連絡する
決めた日に、退職代行が会社へ連絡します。急ぐ場合は、申し込んだ翌朝に連絡することもあります。弁護士の場合は、本人から依頼を受けたことを知らせる「受任通知」を会社に送ります。
5.退職日を決め、書類と物をやり取りする
退職日が決まったら、離職票や源泉徴収票などの書類を会社に請求します。制服や社員証などの貸与品と、職場に残した私物は、郵送でやり取りするのが一般的です。
6.退職したあとの対応
離職票が届かない。最後の給料が振り込まれない。こうした問題は、辞めたあとに起きます。退職後にどこまで対応してくれるかは、依頼先によって大きく違います。
- 会社に伝えることと伝えないことは、連絡の前に決める
- 貸与品や私物は、郵送でやり取りすることが多い
- 退職後の書類や給料の対応期間は、依頼先で違う

嵩原 安三郎
退職代行の運営元は3種類|法律上できることが違う
退職代行の運営元は、民間業者・労働組合・弁護士(法律事務所)の3つに分かれます。
料金やサイトの見た目では、区別がつきにくいと思います。けれど、法律上できることは違います。
| できること | 民間業者 | 労働組合 | 弁護士 |
|---|---|---|---|
| 退職の意思を伝える | ○ | ○ | ○ |
| 退職日・有給休暇の交渉 | × | ○(団体交渉) | ○ |
| 未払いの給料・残業代・退職金の請求 | × | △ | ○ |
| 会社からの損害賠償請求への対応 | × | △ | ○ |
| 裁判の代理 | × | × | ○ |
| 公務員・自衛官の退職 | × | × | ○ |
| 業務委託契約の解消 | × | × | ○ |
出典: 弁護士法72条、労働組合法6条、民事訴訟法54条をもとに当事務所作成。△は団体交渉として話し合うことはできるが、裁判で代理することはできないという意味です。
民間業者は、伝えることはできるが交渉はできない
民間業者ができるのは、本人の意思をそのまま伝えるところまでです。
たとえば会社が「退職日を1か月先にしてほしい」と言ってきたとします。そこで民間業者が話し合いに応じると、弁護士でない者が報酬を得て交渉することになります。弁護士法72条が禁じている行為です。
そのため、会社が話し合いを求めた時点で、民間業者は「本人に伝えます」と答えるしかありません。
もっとも、会社がすんなり退職を受け入れるなら、伝えるだけで終わることもあります。
労働組合は、団体交渉ができる
労働組合が運営する退職代行では、依頼者が組合に加入し、組合として会社と交渉します。憲法28条と労働組合法6条にもとづく、適法な仕組みです。会社は、正当な理由なく団体交渉を断れません(労働組合法7条2号)。
ただし、労働組合は裁判の代理人にはなれません。会社が裁判を起こしてきたら、そこから先は弁護士の仕事になります。
弁護士は、交渉から裁判まで代理できる
弁護士は、本人の代理人として会社と交渉できます。未払いの給料や残業代の請求、会社からの損害賠償請求への対応、裁判まで、同じ弁護士が続けて扱えます。
公務員や自衛官の退職、業務委託契約の解消にも対応できます。民間業者や労働組合が、制度上扱えない分野です。
弁護士か、労働組合か、民間業者か。三択で考えると迷います。実際の線引きは、自分のケースで会社との交渉や請求が起きそうかどうかです。
- 民間業者は伝えるまで。会社との交渉はできない
- 労働組合は団体交渉ができるが、裁判の代理はできない
- 弁護士は交渉・請求・裁判まで代理できる

嵩原 安三郎
退職代行の選び方|申し込む前に確かめる4つのこと
「退職代行 おすすめ」と検索すると、ランキングがたくさん出てきます。
私たち弁護士は、ほかの事務所と比べる広告を出すことを規程で禁じられています。だから、この記事ではランキングを作りません。代わりに、どこに頼むとしても確かめてほしいことを4つ挙げます。
1.運営元はどこか
サイトの運営者情報を見てください。株式会社か、労働組合か、法律事務所か。法律事務所なら、弁護士の名前と所属する弁護士会が書いてあるはずです。
2.実際に会社と話すのは誰か
「弁護士監修」と書いてあると、弁護士が対応してくれる気がします。けれど監修は、内容を確認したという意味にとどまることがあります。会社に連絡するのは誰か。それは別に確かめる必要があります。
問い合わせるときは、聞き方を少し変えてみてください。
❌「弁護士が対応してくれますか?」
✅「会社に連絡するのは、どなたですか。会社が話し合いを求めてきたら、そのまま対応してもらえますか。」
変えたのは、「はい」だけで終わる質問を、名前と範囲を答えてもらう質問にしたことです。曖昧な答えしか返ってこない。それも一つの判断材料になります。
3.料金に何が含まれているか
見るべきは、金額の差ではありません。その金額に、会社との交渉や退職後の対応が入っているかどうかです。
「追加料金なし」と書いてあっても、裁判や出張は別、という条件が付いていることがあります。含まれないものまで読んでから決めてください。
4.退職したあと、いつまで対応してくれるか
離職票が届かない。最後の給料が振り込まれない。こうした連絡を、退職後にどこまで受けてくれるか。期間を具体的に聞いておくと安心です。
- 運営元が会社・労働組合・法律事務所のどれか
- 会社に連絡し、話し合いに応じるのは誰か
- 料金に含まれるものと、含まれないもの
- 退職後に対応してくれる期間

嵩原 安三郎
依頼したあと、会社から連絡が来たら
退職代行を使っても、会社から本人に電話やメッセージが来ることはあります。
出る必要はありません。返信する必要もありません。
もし出てしまったら、「代理人に任せていますので、そちらに連絡してください」とだけ伝えて、電話を切って構いません。
自分から会社に連絡するのも、なるべく控えてください。一言だけ謝っておきたい、と考える方もいます。その気持ちは分かります。ただ、そこで退職日や引継ぎの話を持ち出されると、結局は本人が一人で交渉することになります。
家族に連絡が行くのを心配する方もいます。打ち合わせの段階で、家族には連絡しないよう会社に伝えてもらってください。弁護士なら、代理人として会社にそう求めることができます。
- 会社からの電話やメッセージに応じる必要はない
- 出てしまったら「代理人に任せている」とだけ伝える
- 自分から会社に連絡しない

嵩原 安三郎
退職代行を使う前に知っておきたいこと
退職届は出さなくても辞められる
法律上、退職届という書面を出す義務はありません。退職の意思が会社に伝われば足ります。もっとも、会社の手続きのために、書面を郵送してほしいと頼まれることはあります。
有給休暇は退職前に使える
残っている有給休暇は、退職日までの期間にあてられます。会社には休む日を変えてもらう権利(時季変更権)がありますが、退職日のあとには変える先の日がありません。そのため、退職前の有給休暇に時季変更権を使うのは難しいと考えられています。
「損害賠償」と言われても、慌てない
「急に辞めるなら損害賠償を請求する」と言われる方は、少なくありません。
けれど、退職そのものは本人の権利です。会社が損害を請求できるのは、限られた場合です。言われた内容と日時を記録して、依頼先に伝えてください。
会社からの請求に、効くのは感情ではなく記録です。
公務員・自衛官は手続きが違う
公務員や自衛官の退職には、民法627条ではなく、それぞれの法令が適用されます。退職には任命権者の承認が要ります(人事院規則8-12第51条、自衛隊法40条など)。民間の退職代行業者は扱えません。
- 退職届を出す法律上の義務はない
- 残っている有給休暇は、退職日までにあてられる
- 損害賠償と言われたら、内容と日時を記録する
- 公務員・自衛官は任命権者の承認が必要

嵩原 安三郎
フォーゲルの退職代行でできること
先に、向かないケースを申し上げておきます。
自分で退職を伝えられて、会社もすんなり受け入れてくれそうなら、退職代行は要りません。費用をかけずに済みます。
また、フォーゲルでは労災の請求と、有給休暇の買い取りの交渉は扱っていません。出張を伴う依頼や裁判の手続きも、基本の料金には入っていません。
そのうえで、フォーゲルの退職代行についてお伝えします。
打ち合わせと通知書の作成は、全件、私が担当しています。LINEでの打ち合わせも、私が一対一で行います。弁護士が代理人として会社に連絡し、退職日から60日間、会社からの連絡に対応します。
公務員・自衛官の退職、業務委託契約の解消にも対応しています。
- ライトプラン 22,000円
退職の意思を伝えます。引継ぎなどの連絡はご自身で行います。 - 円満退職スタンダード 25,000円
弁護士が代理人として交渉します。有給休暇の取得や残業代の請求も追加費用なしです。 - 円満退職あんしんプラス 55,000円
損害賠償(訴訟対応を含む)や退職金の請求まで追加費用なしです。出張・裁判の手続きは別途ご相談ください。 - 公務員退職あんしんプラス 55,000円
公務員・みなし公務員・自衛隊員の方向けです。損害賠償請求への対応も含みます。 - 業務委託解消スタンダード 55,000円
業務委託契約をすぐに解消するための交渉を代行します。
支払いは、クレジットカード、銀行振込、後払い(審査あり)、2回払いに対応しています。

嵩原 安三郎
よくある質問
退職代行を使えば、会社に行かずに退職できますか?
期間の定めのない雇用なら、退職を申し入れてから2週間で雇用は終わります。その2週間を有給休暇にあてたり、会社と合意して退職日を早めたりすれば、一度も出社せずに退職できることがあります。有給休暇が足りない場合の扱いは、依頼先と事前に相談してください。
退職代行を使ったことを理由に、懲戒解雇されることはありますか?
退職代行を使ったことだけを理由に懲戒解雇するのは、難しいと考えられています。懲戒解雇には、就業規則の定めと、それに見合う重大な理由が必要だからです(労働契約法15条)。会社からそう言われたら、内容と日時を記録して依頼先に伝えてください。
契約社員やパートでも退職代行を使えますか?
使えます。ただし契約期間の定めがある場合、期間の途中で辞めるには原則として「やむを得ない事由」が必要です(民法628条)。1年を超える契約で、契約から1年が過ぎていれば、いつでも退職を申し出られるとされています(労働基準法137条)。
依頼するときに準備しておくものはありますか?
勤務先の名前と連絡先、雇用形態、入社日、辞めたい日、有給休暇の残日数があれば十分です。雇用契約書や就業規則、制服や社員証など会社から借りている物の一覧も、手元にあると打ち合わせが早く進みます。
今すぐ払えるお金がありません。後払いはできますか?
依頼先によって違います。フォーゲルは公式サイトで、クレジットカード払い、銀行振込、後払い(審査あり)、2回払いに対応しています。詳しい条件は契約のときにご案内しています。
まとめ|退職代行は「誰が会社と話すか」で選ぶ
退職代行は、辞めるという本人の権利を、会社と顔を合わせずに使うための手段です。
- 退職を決めるのは本人で、会社の許可は要らない
- 民間業者・労働組合・弁護士で、会社と交渉できる範囲が違う
- 選ぶときは、誰が会社と話すのか、料金に何が含まれるのかを確かめる
- 依頼したあとは、会社からの連絡に応じなくてよい
人に頼んで辞めることに、後ろめたさを感じる方は少なくありません。けれど、会社を打ち負かす必要はありません。これ以上すり減らずに、次に進むための手続きです。まずは、自分のケースで会社との交渉が起きそうかどうかを整理してみてください。

嵩原 安三郎
参考にした法令・資料
- 民法(627条・628条・651条)
- 労働基準法(137条)
- 労働契約法(15条)
- 弁護士法(72条・77条)
- 労働組合法(6条・7条)
- 民事訴訟法(54条)
- 会社法(330条)
- 自衛隊法(40条)
- 人事院規則8-12(職員の任免)(51条)
- 弁護士職務基本規程(52条)|日本弁護士連合会
- 最高裁判所 昭和51年7月8日判決(茨石事件)|裁判所
- 弁護士検索|日本弁護士連合会
この記事の執筆者
フォーゲル綜合法律事務所
共同代表弁護士
嵩原 安三郎
たけはら やすさぶろう
退職・労働問題を中心に、企業と個人の双方における法的問題解決に従事。
退職代行分野において日本有数の実績を持つ。
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嵩原 安三郎